
事前予防することの重要性
2 事前予防の重要性
労働法務に携わる弁護士として日々痛感するのは、ふだんの労務管理を適切に行っておけば防止できる紛争がいかに多いかということです。労働契約書の不備、就業規則の規定の不備、労使間のコミュニケーションの不足、退職時の手続不備などによって生じる労働紛争は、事前の予防策を適切に講じておけば、かなりの割合で防止できます。
事前の予防策を適切に講じるためには、労働法に通じた弁護士とふだんから連携することが極めて有効です。
少なくとも、労働紛争に至る可能性を使用者側で察知したときには、ただちに労働法に通じた弁護士に相談することをお勧めします。
日常の労務管理に必要な手続(雇用保険への加入手続など)については社会保険労務士の先生が習熟していると思われますが、法的紛争の予防に際し、紛争解決手続にまで至った場合の帰結から逆算して適切な対処方法を探るためには、すべての労働紛争解決手続について代理権を有する弁護士の知見を得る必要があると考えます。
以下、労働紛争の類型を示しながら、具体的な予防策について説明します。
